生まれ変われるならば私はクジラになりたい

生まれあわれるのなら、私はシロナガスクジラに生まれ変わりたい。人はこれを聞くと笑うか?不思議そうに私を見るが、私はそんなに不思議な事を言っているだろうか?人間に生まれ変わって、綺麗になりたいとか、お金持ちの家に生まれたいとか、男の子になりたいとかそういうのを言わなかったからだろうか?
私がシロナガスクジラを選んだのは海底深くに住み、その生態は謎に包まれているこのクジラに生まれ変わりたいと思ったのはあまりにも、その存在を見られない不可思議な存在であり、争いを好まず深海を泳ぎ7つの海を死ぬまで泳ぎ続けるその生き方が好きだからだ。そして、シロナガスクジラは最大級の大きさと重さを誇る。そんな相手に狩りも容易にできないだろう。なにせ相手は深海に住んでいるのだから。
私は生まれ変わるのなら静かに暮らしたい。弱肉強食の動物の世界でも、生きるために命を狙われるのと人間のように私利私欲で襲われるのとではわけが違う。そんな強欲さはいらない。だから、もし生まれ変われるのだとしたら人間ではなく動物に生まれたかった。しかも、できるだけ狩りを行わずひっそりと生きている動物。プランクトンなどを主な主食としているクジラは私の理想だった。できる事ならば争いのない世界で、自由に海を泳ぎ、そして最後の時には仲間のクジラと最後の更新を行い海の底へ沈んでいく。そういったのが私の理想だ。とても深い深海に潜ってまで血肉を他の生物は望まないだろうし、もし望んだとしても深海に住む魚介類たちやプランクトンの餌になるのだろう。生きているときはそれらを糧とし、死んだときにはそれらの糧になる。まさにすべてが無に変える事だろう。
私はこの生き方がいいなと思っていた。ずっと。人の争いごとに関わらず、そして、思う存分愛すべき海を泳ぎ回るのだ。ただただ、静かにそして穏やかな生活を送りたいというのが私の希望だ。波に揺られ、海の音が子守唄として聞きながら海底で眠る。ただひたすらに・・・。